Love in the kiss.







「阿部、離れろって」

しっかり力を込めている阿部の腕を無理に払わずに花井が口で言った。

「嫌だって言ったら?」

阿部は更に腕に力を込めた。
その様子に花井の眉が困ったように下がる。

「え、いや、離してくれないと困る」

ってか苦しい、ギブ、ギブ、と花井が阿部の腕を叩いた。


ひとつため息を吐いて、阿部は腕の力を抜いた。
阿部の腕の中から抜け出した花井は、すぐに衣類を身に纏おうとした。

なんだっけな、童話か何かで聞いたことある話。
空に帰られるのが嫌で天女の羽衣を隠したやつの気持ちが今わかった。






「お前さ、何で終わるとさっさと離れんの?」

さっきまで腕の中にいたはずの花井は、シャツのボタンを留めていた。
一度は離したものの、やっぱり温もりをもう一度確かめたくて、阿部は花井の腰に巻きつく。

「なんで、って」

花井の手が止まる。
そして、もごもごと口ごもる。

「くっついてるとムラムラする、とか?」

当てずっぽうで言い放った阿部の言葉に花井の顔が真っ赤になった。

おいおい、嘘だろ。
俺はお前のその反応にムラムラするんだけど。
何、その、情けない顔。
すげー、愛しい。


花井は眉を下げて、真っ赤になった顔を誤魔化すように、頬をさする。
そして、結局何も言葉を選べずに、ちらりと阿部の表情を伺った。

その、花井の情けない顔を、阿部はとても愛しく思ったのだ。




「阿部、何すんだよ」

阿部が後ろから手を回してきて、花井のシャツのボタンを外していく。
花井がそれに気付いて阿部の手を払おうとした。

「いや、俺も今ムラムラしたからさ、」

「だからって、何で、」

阿部は花井の耳元に口を寄せると、「一緒だから」と囁いた。
花井の手が止まる。

「一緒、」

「俺も、お前と一緒で、欲情してんの」

「よく、じょう、って、」

「そ、お前だけじゃねーよ、だから安心しろよ」

花井の手から力が抜けた。
だから割とすんなり阿部は花井の服をもう一度脱がせた。

「や、待て、やっぱりこれ以上したら明日部活が、」

花井の頭がようやく回った。

「あ、やっぱりキツいのか?」

阿部があっさり行動を止めた。

「あ、いや、2回くらいなら平気だけど」

「ん、じゃ、後1回」

阿部が花井の頬にキスを落とす。
もう少し何か言おうとした花井だったけれど、そのキスで絆されてしまった。
花井の返事を待っている阿部は、花井の額にもキスを落とす。

「阿部、」

阿部の名前を呼んで唇にキスを強請った花井を、やっぱり愛しいと阿部は思う。





誰よりも、愛してやるよ。





口に出さない決意は、静かに阿部の心の中に刻み込まれていた。








*:*:*

はい、皆さん、声をそろえて、「甘ーい!!!!」(古)
わわ、甘すぎます、ね!
でも、うちのたかあずは基本これくらい甘いですよ!!